2021.10.23 13:07夢の影響 人は誰しもが眠り夢を見る。その内容を覚えているかどうかはさておき、夢という存在をどう捉えられるだろうか。 人は夢の中で、現実世界ではありえない荒唐無稽な体験をすると思いがちだ。確かに起きている間ではありえないことが起こる。しかし、その夢を構成している材料自体は、目を覚ましている時の環境や心の状態が影響しているのではないか。さらに言えば、覚醒している際に触れない物事は、夢の中にすら出てこないように...
2021.10.18 12:52死に際にーーばななと隆明 吉本ばななのエッセイに、父・吉本隆明との最期を描いたものがある。 吉本隆明はいつも、「家族の者が病気になっていたとしても、自分の大事な予定などは飛ばしてはいけない。病身の方は『自分の都合で飛ばさせてしまった』と感じてしまうから」とばななに話していた。ふつうなら「家族のことは一番に優先するべき」と聞くのが多いだろう。少なくとも吉本家はそうではなかった。 父・隆明がいつ亡くなるか分からない、という容...
2021.10.09 14:14物と事 日本には「物事」という言葉がある。目の前に現れている対象、それは「物」であり、次々と起こっていく出来事、こちらの方は「事」とみなすことが出来よう。日本語として、西洋言語などのように画一的に定義することは難しい言葉ではあるが、「物事」はその二つを合わせ世界を捉えようとした証でもあるだろう。 仏教的な考え方ではこの世には「事」しかなく、「物」は存在しないとさえみなされると聞く。かなりラディカルな考え...
2021.10.07 14:30前衛について 「前衛」という語が芸術分野に使われるようになったのはいつからであろうか。文献調べをしているわけではないから詳細は置いておいても、この語はもともと戦争用語であるように思う。戦の前線で初めに敵陣とぶつかる軍のことを前衛と言うであろう。それが(二十世紀の大戦などで)芸術の方にも使われるようになったのだと思う。 一般的に、芸術において「前衛」と呼ばれる作家群は、難解な作品を作ると称されることが多い。例え...
2021.10.02 05:46整理するという事 物事には整理するという営為がつきものである。要るもの・要らないもの、喫緊のもの・そうでないもの、仕分けることで人間は初めて心を決めて動き出すことができる。ただ闇雲に動くのに人間は向いていない。動物としての本能のほかに、思考能力を持ってしまったからだ。何かを仕分けてこそ、最大限の力を発揮する道を得るのは、人間の特色である。 しかし、人間の一生自体が、要不要をふくめた意味性で捉えることができない謎そ...