無意識へおりる恐怖
先日、一つの夢をみた。雪のふるゲレンデに私はおり、(現実には雪山には一回も行ったことはないのだが)おずおずと山を滑走する夢だ。
夏の、それも炎天下まっさかりの季節に冬の夢をみたものだから、こうして目覚めている今でも印象に残っている。さらに言うとスキーをする夢というのも初めてかもしれない。
それにしても何故この文章を書く気にいたったのかと言えば、この夢の中で私は終始、恐怖感を抱いていたからだ。
まず、山の上に移動するリフトに乗っている時点で、落ちる恐怖を感じていた。確かに現実にも私は高所恐怖症である。しかしながらスキーをこれからするというワクワク感を持っていてもいいのに「落ちるかもしれない」ということばかりを考えるというのも妙な話である。
さらに、自分が山の上から滑っている時に、眠っているであろう大蛇に出くわした。蛇の肌というのか、少し灰色ずんだ鱗の体を見た時には息をのんだものだ。冬山、それも雪のふるゲレンデに蛇がいるのも説明がつかない。夢の中の私は、蛇を起こさないようそっと立ち去った。
さて起床した時に思ったのはあの恐怖感は何ものだったのだろう、ということだ。言語化するのも陳腐なのかもしれないが、私は無意識に作動する世界をおそれているのではないかとの考えが浮かんだ。意識と無意識が相補的なものだとすれば、現実の夏季に対して夢の舞台が雪山なのも説明がつくし、眠る大蛇もそのシンボルなのかもしれない。だが未だ私はリフトから落ちるのを過度に恐れている。私は言語表現が好きであるが、その言葉で表せられないものに対して畏怖を持っているのかもしれない。これから私の夢はどうなっていくか。
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