人は一目で決まるか

 人への感情は第一印象で決まる、とはよく言われる。どんなに論理的に組み立てていったとしても、ある人の最初の印象を塗り替えるのは難しい。人間は完全に理性的な存在にはなり得ないからだ。

 だが、そのように一目で自得した信用が覆されることもあるだろう。心身の健康状態やおのれの判断の経験などで直観が鈍っている場合があり、往々にして人は騙される。「もっと考えておけば良かった」と後悔したり、相手に対して憎しみの情を募らせたり、さまざまな結果を生む。

 そうして人間は直観に対して冷笑的になっていく。経験や論理的思考力にしだいに頼るようになっていく。

 そんな世の中でも私は、一目による直観を信じていたいと思う。おのれが世界から身を閉ざしていたり、斜に構えていない限り、この世のありとあらゆるものは的確なタイミングで出会えるのではないか。

 そして、私自身も(世間的立場・社会的立場はどうあれ)一目で見切られている一事を忘れてはなるまい。どんなにうまく構えていようと、世界のありとあらゆる物事に対して自分を偽ることはできない。後から考えてどんなに情けなかろうと、それがまず自分への一目なのだと自覚するところから始めなければならない。

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